年末年始に読んだ本を紹介します。
道尾 秀介さんの『向日葵の咲かない夏』を読みました。
Amazon作品紹介引用
「夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。」
本当にすごかったです。
タイトルと作品紹介から、スティーヴン・キングさん作の『スタンド・バイ・ミー』のような、ジュブナイル、少年期回顧にミステリーが合わさった作品で、映画ドラえもんのようにハラハラ懐かしい気持ちになれるんじゃないかと思って購入したんですが、間違いでした。
多分、友人から「おすすめのSFだよ」と言われていた先入観と、紹介文の最後の一文の「あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。」という一文だけを脳内で組み合わせた結果そう思っただけで、前半部分を読み直すと、ちゃんと物騒なことが書かれていますね。
ミステリーなので、多くは語れないところが歯がゆいのですが、どうしても話したいことだけ書きます。ここからはネタバレを含みます。
主人公の男の子が子供なので、推理を間違うんです。ミステリーといえば「探偵」という固定観念を持っているので、ミステリージャンルの推理って、一発で正しい答えを出すという思い込みがありました。でも、その間違いがミスリードになっていて、それが話の展開のドキドキを生み、謎全体の輪郭を明らかにするんです。
そのうえ、違和感のある登場人物たちが、ずっと作品の違和感を醸し続けます。
歳の割にあまりに賢すぎる妹、あまりにも怖すぎる母親。それから、あまりにもな級友。
幼い目線で書かれているのでなんとかついていける、形而上的に展開する謎への追従に、おせちを食べながら冷や汗をかき続けていました。
ネタバレ終わり
ミステリー×ホラー×リインカーネイションの組み合わせを楽しめる人におすすめです!
文章でしか楽しめない作品です。ぜひ読んでみてくださいね!
PS:
年末年始なので、もう少し冬らしい作品を読めばいいのにと後から思いました。