皆さんこんばんは日橋喩喜です。
私が行きつけの洋菓子屋さんの前に高そうなリムジンが止まっていたのでびっくりしました。
中からは山高帽をかぶったジェントルマンが出てきます。
少し苦手なタイプの目つきをしていましたので、上目遣いでチラチラ見ながら観察をしていたのですが、不思議なものでリムジンが走り去って行ってジェントルメンだけが取り残されていると、途端にお菓子にも理解のある優しい感じのお姉さんに見え方が変わるので不思議なものですね。
彼はドアのベルをひっそりと鳴らして店内に入っていきます。
私もその後をついて入っていくと、中は甘い匂いで満たされていました。
私はチョコレートサンドを籠の中に入れてジェントルマンの様子を伺っていましたら、両手で抱えきれない大きさのホールケーキを二つ指差してこれを下さいと言っていました。
私のイメージの中でジェントルマンというのは皆パティシエお家の中に召し抱えていて、好きなものを好きなだけ作らせるという貧相なイメージしかありませんでしたので、箱詰めされた1ホールケーキを二つ抱えて帰っていく様がとてもエモーショナルだなと思いました。
自分一人がそれをゆっくりと食べるために買っているというのもいいし、家族の誕生日のためにそれを手に抱えて玄関を入って行って家族に行って迎えられると言うそういうようなシチュエーションもいいなと空想せずにはいられませんでした。
私はそれからクッキーを10枚程度かごに入れて、さらにはマカロンを5個一つのセットになっているものを購入し家路に着きました。
家に帰ると母が迎えてくれました。
母は私が手に抱えていたお菓子の箱を目ざとく見つけると、「お茶を入れるわね。ほうじ茶以外があったかしら?」と言って台所の方に急いで行きました。
私は買ってきたお菓子をテーブルの上に置くと、あのジェントルマンもこういう風に家族とあのホールケーキを一緒に食べていたらいいなと思いながら、母と一緒に母が入れてくれたアールグレイティーを飲みつつもチョコレートサンドを胃に納めました。