牛丼を食べる時はなんと言うか静かで落ち着いていて満たされていなければならんのです。
12時頃の騒々しい学食はうってかわって、14時45分のおやつ時には静かになります。
広い学食の片隅では、メガネをかけた13人ほどの学生たちが、何かのカードゲームで遊んでいます。
夏も近づいて、暑い日が遠くなってきた今日この頃は、食べるものに結構気を使います。
コーンフレークや、カロリーメイトで済ませがちな食生活では暑さに負けてしまうと思い、積極的にお肉を食べたいと思う所存です。
さて私は牛丼に唐辛子をトッピングして、追加自由なにんにくをまばらにまぶしていざ食べようとすると、目の前に同じく牛丼の丼を置く人が現れました。
御柱さんです。
私達は目を合わせた瞬間に、荒野をゆくガンマンになりました。
お互いが間合いを見てはかり、今にもお箸を割りそうです。
心の中でお互いに、321を数えた後、同時にパチンと割り箸を割りました。
私がご飯を飲むように、するすると箸をすすめ、彼女の挙措動作は言うなれば明鏡止水。
まるで止まっているかのように、お箸を動かしています。
彼女の優雅さに見とれている場合でありません。
牛丼を食べるのは命をかけた戦い。決してひいてはならない戦いなのです。
ついているか分からないクーラーは、自動ドアから入る外の熱気に負けていますので、
どんどん体温が熱くなっていきます。
少しずつ水が欲しくなって、噛む力も弱くなりながらなんとか食べ終わりました。
彼女を見るとまだ食べています。
この勝負もらったわと思いましたが、彼女はなんだかニヤリとしています。
よく見ると彼女が手にしている丼の隣にはもう一杯空のどんぶりが置いてあります。
まさか2杯目!ま、負けたわ。
私は机に突っ伏しました。