雨が降ると、よく私はバスの停留所に向かいます。
正確には 敷設されている休憩所にですが
中は木造の明かりがないので蓄光とクラゲのシールが休憩所の内側をぼんやりと照らしています
私はぼんやりと明るいところに降る雨を眺めていると、
「杞憂の会はここですか」と問いかける声がしました
「何ですか、それは。」 と私が言うと、
「違うんですか、失礼いたしました。」と言って立ち去ろうとしましたが、私はその後ろ姿に見覚えがありました
「あなたはトンボの方!先日、牛丼を二杯食べ、とんぼのキーホルダーを忘れていった人!
」
トンボの人はちょっとむっとして、
「それは私が食いしん坊のおっちょこちょいだといってるの?」
と、少し怒った声色を出しました。
「そういうわけでは……」
「トンボのキーホルダーは探していたの。あなたが持ってるの?」
彼女は手を差し出しましたので、私はポケットに入っていたリンゴの飴を渡しました。
「持っていません、学生課に預けました。これはお詫びです」
「そうなんだ、ありがとう!」
そう言って彼女はその飴を口に含み、私の頭を撫でました。なんだか、なめられている気がして、つい、意地悪を言いたくなりました。
「今、食べるなんて、やっぱり食いしん坊じゃないですか」
彼女は目をそらして答えませんでした