私は今日の文学概論の授業を終えた後、食堂に行きました
牛丼200円、日替わり定食380円
格安の値段で提供されている食堂は、多くの生徒たちがたむろっています
自販機も17台あり、和洋中のカウンターそれぞれが昼と夕方の時間に営業をしています
私が昼間に雑貨屋で買ったふくろうの置物を愛でながらりんごジュースを飲んでいると、目の前に黒髪の女性が座りました
彼女は どんぶりを2杯目の前に置いて、脇目も振らずに食べます
私もよく食べる方ですが彼女ほどではありません
食べている人をじろじろと見るのは失礼と思いながらも、彼女のその食べっぷりに惚れ惚れとしてしまいました
彼女は2杯牛丼を食べた後、喉を鳴らして水を飲み込み、さっさと返却口に返しました
もとの机の上を見ると、トンボのキーホルダーが乗っています。彼女の忘れ物でしょうか。私はそのトンボを手に取り、彼女を追いかけました
しかし時間はちょうどよく、放課の時間にぶつかり、多くの人たちが食堂に押しかけました。
私はその山をかぎ分け、彼女の頭だけを追います。私より背が高いみたいです。
しかし、どんどん離されてばかり。私が何とか走りながらついていくと、駐車場に着きましたそして私は彼女が黄色い車に乗るのを見て心臓の動悸に負けて呆然と見送ってしまいました
手には彼女のキーホルダー らしきトンボ。どうすればいいかと考えた結果、そのまま持って帰って彼女の事を探すということも選択肢にあげましたが、知らない人から突然私物を返されたらどう思うでしょう。そういうことを考えると私の中の小心者が頭をもたげました
私はひとまず学生かに落し物としてそのトンボを届けました
場所と車の特徴、そして私の名前。一つの落とし物から素敵な出会いがあるなんてありません。直接的に返すことで私の盗難を疑われるかもしれません
そして私は汗と脂汗をかきながら家へと帰りました
冷たいりんごジュースが美味しいです。